盗聴は犯罪?法律上の扱いと被害時の対処手順
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「盗聴罪」は存在しない――だが処罰は可能
「盗聴は犯罪だから逮捕してもらえるはず」。そう考える方は多いのですが、実は日本の刑法に「盗聴罪」という条文は存在しません。では盗聴した犯人は野放しなのか? そうではありません。住居侵入罪、電波法、ストーカー規制法など複数の法律で処罰が可能です。
盗聴器の種類や仕組みについては盗聴器の種類と仕掛けられやすい場所、自分で盗聴器を見つける方法は盗聴器の見つけ方5選で解説しています。
盗聴に関連する法律
住居侵入罪(刑法130条)
盗聴器を設置するために他人の住居に無断で入った場合、住居侵入罪が成立します。法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。
電波法違反
盗聴器が無線局に該当する場合、無免許での運用は電波法第4条違反となります。法定刑は1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
ストーカー規制法
特定の人物に対する監視目的で盗聴を行った場合、ストーカー規制法に抵触する可能性があります。つきまとい等の一環として盗聴が認定されれば、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
盗聴行為そのものを直接罰する法律がないからといって「盗聴は合法」ではありません。盗聴に付随する行為(住居侵入、電波法違反など)で処罰される可能性が高く、民事上のプライバシー侵害としても責任を問われます。
不正アクセス禁止法
スマホやPCにスパイアプリをインストールして盗聴する行為は、不正アクセス禁止法に該当する可能性があります。
有線電気通信法
電話回線に直接盗聴器を接続する行為は、有線電気通信法第9条(秘密の保護) に違反します。法定刑は2年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
| 法律 | 適用されるケース | 法定刑 |
|---|---|---|
| 住居侵入罪 | 設置のため無断侵入 | 懲役3年以下 / 罰金10万円以下 |
| 電波法 | 無免許での無線機運用 | 懲役1年以下 / 罰金100万円以下 |
| ストーカー規制法 | 監視目的の盗聴 | 懲役1年以下 / 罰金100万円以下 |
| 有線電気通信法 | 電話回線への接続 | 懲役2年以下 / 罰金50万円以下 |
刑事罰の対象にならないケースでも、プライバシー侵害として民事訴訟で損害賠償を請求できる場合があります。弁護士に相談しましょう。
盗聴に関する判例と実際の法的対応
判例1:住居侵入罪での有罪判決
元交際相手の自宅に合鍵を使って侵入し、盗聴器を設置したケースで、住居侵入罪が成立し**懲役6ヶ月(執行猶予2年)**の判決が下されました。盗聴行為そのものではなく、設置のための侵入が処罰の根拠となった事例です。
判例2:ストーカー規制法による逮捕
別居中の夫が妻の自宅と車に盗聴器・GPS追跡器を設置し、行動を監視していたケースです。ストーカー規制法の「見張り」に該当するとして逮捕され、罰金50万円の判決が下されました。2021年の最高裁判決では、GPS機器の無断取り付けも「見張り」に該当すると判断されています。
判例3:民事訴訟での損害賠償
隣人が集合住宅の壁越しに盗聴を行い、プライベートな情報を第三者に漏洩したケースで、民事訴訟においてプライバシー侵害として慰謝料200万円の支払いが命じられました。
盗聴と法律に関する重要なポイント
盗聴器の購入・所持自体は合法
驚かれる方もいるかもしれませんが、日本では盗聴器の購入・所持は違法ではありません。通販サイトでは「防犯用」「見守り用」として3,000円程度から販売されています。しかし、他人のプライバシーを侵害する目的での使用は住居侵入罪や電波法など関連法規に抵触します。「買えるから使ってもいい」わけではありません。
自宅への盗聴器設置の法的扱い
配偶者が自宅(共有財産)に盗聴器を設置した場合、住居侵入罪は成立しにくいですが、プライバシー侵害として民事上の責任が問われる可能性があります。離婚裁判では不利な証拠として扱われることもあります。
職場での盗聴の法的扱い
雇用者が従業員の会話を監視する目的で盗聴器を設置した場合、労働法上の問題やプライバシー侵害が問われる可能性があります。ただし防犯カメラの設置は一定の条件下で認められるなど、ケースバイケースの判断となります。
2000年に施行された通信傍受法(いわゆる盗聴法)は、警察が犯罪捜査のために通信を傍受することを認める法律であり、一般市民の盗聴行為を規制するものではありません。一般市民による盗聴行為は、本記事で紹介した各法律で個別に対処されます。
被害時の対処手順
- 証拠を保全する:盗聴器の写真撮影、被害状況の記録、関連する出来事のメモを残す。証拠保全と相談先の詳細はこちら
- 警察に相談する:最寄りの警察署に相談する。被害届を出すためには具体的な証拠が必要なので、証拠を持参する
- 弁護士に相談する:民事訴訟(損害賠償請求)を検討する場合は弁護士に相談する。法テラス(0570-078374)では無料相談も可能
- 専門業者に撤去を依頼する:盗聴器の安全な撤去と、追加の盗聴器がないかの確認をプロの業者に依頼する
法テラス(0570-078374)では無料で法律相談ができます。盗聴被害に適用される法律や損害賠償の可能性について、専門家のアドバイスを受けましょう。
盗聴被害を受けた際の法的手続きチェックリスト
- 盗聴器の写真・設置場所の記録など証拠を保全したか
- 最寄りの警察署の生活安全課に相談したか
- 被害届に必要な情報(被害状況・犯人の心当たり)を整理したか
- 弁護士に損害賠償請求の相談をしたか
- 法テラス(0570-078374)の無料相談を検討したか
- 証拠(写真・メモ・盗聴器本体)を最低3年間保管する計画を立てたか
「盗聴器を仕掛けられた側」も注意すべき点
盗聴被害者が自力で犯人を特定しようとして、相手の住居に侵入したり、相手のスマホを無断で調べたりすると、被害者側が違法行為を行うことになります。犯人の特定は探偵事務所や警察に任せましょう。盗聴器発見時の具体的な行動は発見時の対処手順、総合的な予防策は盗聴対策まとめをご覧ください。
配偶者が自宅に盗聴器を仕掛けた場合は違法ですか?
自宅への設置の場合、住居侵入罪は成立しにくいですが、プライバシー侵害として民事上の責任が問われる可能性があります。離婚調停や裁判では不利な証拠にもなりえます。
盗聴の証拠がなくても警察は動いてくれますか?
証拠がない段階でも相談は可能です。ただし捜査が開始されるには一定の証拠が必要です。まずは専門業者に依頼して盗聴器の発見と証拠確保を行うことをおすすめします。
盗聴された内容を犯人が第三者に漏らした場合は?
名誉毀損罪やプライバシー侵害に該当する可能性があります。録音内容を公開した場合はさらに重い法的責任が問われます。弁護士に相談して損害賠償請求を検討しましょう。
盗聴器を設置した相手に対してどのような法的措置が取れますか?
刑事面では住居侵入罪・電波法違反・ストーカー規制法での告訴が可能です。民事面ではプライバシー侵害による損害賠償請求が可能で、慰謝料は数十万〜数百万円のケースがあります。弁護士と相談して最適な方法を選びましょう。
盗聴で得た情報は裁判の証拠として認められますか?
違法に収集された証拠は裁判で認められない可能性が高いです。特に盗聴で得た配偶者の浮気の証拠などは、収集方法の違法性が問題視されるケースがあります。証拠収集は合法的な方法で行うべきです。
海外から遠隔操作で盗聴された場合はどうなりますか?
不正アクセス禁止法や電気通信事業法が適用される可能性がありますが、海外の犯人を特定・逮捕するのは困難です。まずは国内の法的手続きを進めつつ、再発防止のセキュリティ対策を優先しましょう。